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「こんなところまで引っ張り出してなんのようですか」
俺は人通りの少ないところまで連れてかれた。
会長はちらっと俺を見たあと、地面に視線を落とす。
話し始めるのに時間がかかりそうだったので、ジュースを開けて飲む。
数分待ったが、全く話しそうもなかったので聞いてみる。
「春野の事ですか」
会長はびくりとして俺の方を向いた。
そして口をやっと開いた。
「すまん。何から話していいか分からなかった」
「いいえ」
「お前はあいつと同室だろ」
「ああ」
「だから引っ張ってきた。すまん」
「別に大丈夫なんで、早く要件を」
「冷たいなお前」
「別に」
会長は軽く笑うと、話し始めた。
「あいつは元気か」
「元気すぎてうざいです」
「昔はもっと可愛げがあったんだけどな」
「昔?」
「そう昔。中学3年までずっと学校一緒で、家も近くていつも一緒にいた」
「はぁ」
「興味なさそうだが、少し聞いてくれ」
「まぁ聞きます」
「ありがとう」
会長は頭をかくとまた話し始めた。
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