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「偶然再会したのが幼馴染で、おたがい美男美女に成長していたわけね」
「へへ、まあね。……で、一気に燃え上がってさ、親に言えば反対されるのはわかってるから、その川辺で密かに会うんだけど、そのうち彼女の親に気づかれて。……ある日、いつものように待ち合わせをするんだ。彼女は俺のためにめかしこんで待ってる。でも俺はそこに行けない。突然、黒服の不気味な男が現れて、俺の行く手を阻むんだ。で、彼女の幸せのために身を引くよう説得される。そいつは、彼女の親とフィアンセが送り込んできた説得役なんだよ。で、俺はけっきょく言うことを聞いてしまう。そのときは本気でそれが彼女のためになると思ったんだ。バカだろ」
「純愛ね」
「で、俺は遠い街で新しい生活を始める。ああ、連絡は、それきり取ってない。彼女は俺がどうして待ち合わせ場所に行かなかったのか、知らない。そのうち、彼女の結婚式の噂が俺の耳にも入る。金持ち同士の結婚だからさ、とても盛大なんだ。街全体がお祝いムードで、飾り付けをする若い男女もなにかイチャイチャしてて、幸せそうなんだよ」
「見に行ったのね?」
「そう。やっぱり気になってね、式の前に見に行った。それで街全体が幸せそうなのを見て、彼女は絶対に幸せになれる、俺の選択は正しかったんだ、と思う」
「ところが……」
「ところが、だね。彼女は内心ではずっと俺を待ってたんだよ。でも、彼女は俺に振られたと思い込んで、もう嫁入りを拒否はしなかった。しないけど、ずっと浮かない表情でいた。ウエディングドレスを見ても、立派な新居の話をされても。それを彼女の兄は心配そうに見ていた」
「お兄さんはあなたの友人ね?」
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