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動かないと思っていた戦車がいとも簡単に後退を始めたのだ。 『 』 エンジンに掻き消されて何も聞こえない。 「志穂さん! 陽一! 薫さん!」 同じようにこちらの声も届いていないと思うのが妥当だろう。 「後退! 後退してください!」 それでも叫び続けた。 それ以外にすることが浮かばなかったから。
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