高校2年の冬

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翌日。 「ほら、先生くるって!」 「いいじゃん、俺が隠れてるのは秘密な!」 野球部の群れがまた何かしている。 私のクラスの三分の一は野球部だ。 何かをする、となったらチームワークが凄まじい。 それがまた、くだらないことなのだけど。 「おい、光輝!頭見えてるぞ!」 「おっしゃ!任せろ!、ってお前も手伝え!」 いつもムードメーカーは光輝。 今日はクラスの後ろの掃除道具入れに隠れるらしい。あんな小さいところによく入れるなぁ、と感心さえする。 ガラガラ、と担任が戸を開けて入ってくる音がする。 クラス全員、暗黙の了解で黙る。 そして、このタイミングで担任が気づくのだ。 「あれ、川野はどうした。」 「ん?あれ?トイレじゃないっすか」 「また隠れてるのか」 と、昨日隠れていたカーテンの後ろを見る担任。今日の隠れ場所は違うと確認したところで探すのをやめた。 「じゃ、教科書59ページ」 今日は地獄の放置プレイらしい。あんな狭いところで可哀想に..と思ったところで、ちょっと探してくださいよー、と出てくる光輝。 「お?とうとう掃除道具入れと仲良くなったのか」 と言う担任に全員が笑った。
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