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「結衣先輩!今日も彼氏さんと帰るんですかー?早くしないと待ってますよー?」
今日の合奏しんどかったー、と言う声があちらこちらで聞こえる中、楽器を片付け始めた後輩が気を遣って話しかけてきた。
だいぶ時間が過ぎてる。外も真っ暗。
よし、帰ろう。寒い外で光輝を待たせて申し訳ない。
そう思って、部室の戸を開けようとしたとき、ある人物に呼び止められた。
「結衣、ちょっと待って!ここのファーストのソロのところなんだけど..」
同じフルートパートの里穂だった。同じクラスで勿論私と光輝が付き合っているのは知っている。
優しい性格の里穂に、ごめん彼氏が待ってるんだ!と言えば笑顔で見逃してくれるのは絶対。
でも、パートリーダーとして そこで さよならできない。
「この曲ファーストにソロ多いから、ここのソロはセカンドの里穂に譲るよ」
里穂が持ってきた楽譜を指さし、そう伝えた。
えー!ほんと?嬉しい!と喜ぶ里穂。
里穂の努力を知っている。なんだかベンチに座っている光輝の姿と重なった。
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