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「遅れた!ほんとにごめん!」
南国の冬も、まぁまぁ寒い。
そんな中、マフラーをぐるぐるに巻いている坊主頭は、真っ暗の駐輪場でもすぐに目に付く。
「お、おー別に」
赤い鼻でよく言う。もともと寒がりなのに。
急いで自転車の鍵を開け、動かす。
吹奏楽部と野球部。お互い、厳しい顧問にバレたら何かと厄介なため、まず私が最初に門を抜けるのがお約束。
私の25メートルくらい後ろに光輝。
いや、こんな茶番しなくても、本当は学校中にバレている、らしい。
吹奏楽部と野球部という学内でも目立つ部活だと、何でかこうなってしまうようだ。
お互い別々に門を抜けると、校内から外が確認できないところまで進んで、ようやく2人並んで歩ける。
2つの自転車が持ち主に押されるたびにカラカラカラとなる音が心地よい。
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