高校2年の冬

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「演奏会前ってそんなに大変なのか?」 「まぁね、3年の先輩もピリピリ..」 しかも、2年のくせにパートリーダーとかしてるから、結構難しい立場。 今日は、風が吹いてない。 2人の歩くスピードもゆっくりだ。 「そうか..そういえば結衣って朝練してるとこ見たことねぇな。里穂さんとかいつも朝練習しているイメージ」 唐突に同じパートの里穂の話が出てきて、思わずハッとしてしまう。 「ねー、すごいよねー。何だろう、努力型じゃないんだよね私」 あ、調子乗っちゃったー!と笑ってごまかす。そりゃ調子乗りすぎやろ!と笑う光輝。冗談が通じる。だから楽しい。 「俺は相変わらず。次の試合のキャッチャーも後輩」 はぁ、と吐くため息には、きっと色々な思いが詰まっている。 永遠のブルペンキャッチャーかもな!と太い眉毛をへの字に曲げて笑う光輝。 「光輝は努力家だもん!きっと大丈夫だよ!」 何も知らないけど、前向きな言葉をかけてあげたかった。
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