7人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
カーテンを開けると、空にはまんまるな月。
何となく、月に誘われるように
ベランダへ出る。
時間も時間だけに、周辺も静か。
ベランダの柵に肘をつき、ホットミルクを啜る。
蜂蜜のやらかい甘さが、ふわりと口に広がった。
若い時は(今ももちろん若いけど)、こんな穏やかな気持ちで居ることが出来るなんて、思いもしなかった。
こんな気持ちになれるのは、きっと、今ベッドでアホ面して寝てる、あいつのおかげ。
あいつが、オレの全部を受け止めてくれて、その愛情を惜しみなくくれるから。
そんなことを思いながら、マグカップに口をつけると、背中から、ぎゅ、と、抱き締められる。
蜂蜜の匂いに混ざって、安心する香りに包まれ、笑みが零れた。
.
最初のコメントを投稿しよう!