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「起きたん?」
オレは後ろを見ることなく聞く。
「おん。起きたら貴ちゃんおらんから、びっくりしたけど」
寝起き特有の、がっさがさの声。
「水、飲んだんか?」
「んや。冷蔵庫行こう思ったら、ベランダに貴ちゃん居るの見えたから、そのまま来た。
てか、何飲んでるん?えぇ匂いするけど」
「牛乳温めて、蜂蜜入れてん。……飲むか?」
前を向いたまま、マグカップだけをそいつに見えるように、横に突き出す。
「……それもえぇけど、オレはこっちがえぇな」
その言葉が聞こえると、後ろからオレのほっぺたに、手が添えられた。
優しく、顔を横に向けられる。
「……ん」
「ごちそうさん」
嬉しそうに笑う、藤原と目が合った。
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