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「それで警察を呼ばない訳をお聞きしても?」 眼鏡のレンズごしに、淡々とした声とは裏腹に厳しい視線を向けてくる副会長サマ。 「……だから、今回の件は異例中の異例だ。警察が出る幕じゃないし、手に負えるものじゃない。…それに、学園のセキュリティも強化するし、連中の狙いは僕だから。僕がこの学園から出れば大丈『そんなことはさせない!!!』 「あ、あのー‥ 彼方くん?」 自分が学園から出れば学園の安全は保証される、そう口にした途端、彼方の剣幕に思わず顔が引き攣る 「そんなことは絶対させないし、俺が許さない… また、俺を置いて、前みたいに忽然と姿を消すなら… 俺は一族のあらゆる手を使ってでも見つけるし、連れ戻して今度は逃げ出せないように南京錠だって付けるし、それでも身が危険だって言うなら… 俺だけしか知らない場所に、部屋に閉じ込める… そうすれば亜希の場所は俺しか知らないし、亜希の身の安全だって保証できるだろう?」 そうだ、それがいい。名案だとばかりに笑顔を向けてくる彼方に俺の顔はより引き攣っていると思う。 後ろを見ろ、彼方!見てみろ!お前のお仲間の風紀どころか生徒会でさえ、顔が引き攣ってんぞ!? "ちょっと、軽く怖いんだけど…" そんな強張った声が生徒会と風紀のいるほうから聞こえたのはきっと俺の気のせいじゃないはずだ。 .
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