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「あ、あのー… か、彼方くん?と、とりあえず一端、落ち着こう!?」 じゃないと、彼方が怖くて俺が喋れないんだけどっ! 「とりあえずも何もない!!これが落ち着いていられ――」 興奮する彼方を止めたのは携帯の着信音だった。 ぶるぶる…っとバイブが連動して俺のポケットから音が鳴る‥ た、助かった!!!← これ幸いと、彼方が何かを言いたげに眉尻を吊り上げるのをスルーし、電話を取る。 「はい、もしもー?」 かけてきた相手はよく知る人物で―― 『もしもー?じゃねーよ!襲われたって聞いたから心配してかけてやったのに』 「こーちゃん!!!」 『だから、カオルでいいって…』 「ぇー だって、かーちゃんって呼んだら、前、もの凄く怒ったじゃん‥」 『あったり前だろうが!!!俺はお前の母親になった覚えはねぇーよ』 こーちゃんは裏で取引屋というのをやっている俺と同じ学生。腐男子とかなんとか言ってる奴で、本名は水咲 香(ハヤサキ カオル)。裏の取引屋のときはアイツはコウって名乗っている。 取引屋っていうのは、情報屋から買い取った情報を欲しい奴に売る掛け橋。仲介者。 お互い素性を知ってる仲だし、アイツはカオルでいいって言うけど… 前にカオルの"カ"で、かーちゃんって試しに呼んだら怒られたから、こーちゃんって呼んでいる。 まぁ、怒るのわかってて故意に呼んだけどな。 .
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