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『ほら、お前さぁ前に番犬が欲しいっつーってただろ?』 「……あのね、こーちゃん。番犬は欲しいって確かに言ったよ?でも、俺が欲しいのは毎晩毎晩やってくる暗殺者を追い払ってくれる… 俺の安眠を約束してくれる番犬がいいの! そこらの番犬じゃ『トラは無理だったけどな、ツテがあってライオンが…』ライオン!?今、ライオンって言った!?」 その瞬間、自分の目が輝くのを自覚した。 『お、おう… 。前にお前がライオン牧場を作りたい云々言ってたのを思い出し「マジで!?やった!!でかしたよ!こーちゃん!!」 1人有頂天に喜ぶ俺を他所に『テンションったっけぇーな…』と電話ごしにボヤくこーちゃんに、ほっとけ!と思うも浮かれていた俺は… 周囲のことも忘れて言ってしまった。 『もう!こーちゃん大好き!!ここにいたらハグして、ちゅー してあげ…』 ハッ、と後ろから感じる只ならぬ気配に固まった。そう、俺は固まった。背筋を走る悪寒… 冷や汗が止まらない 彼方の存在を忘れて、ヤンブラにあるまじき失言に気付いた俺はヒクリ、と表情を引攣らせた。 『もしもーし?おー…い…』 今度はどーしたんだよ?と何も知らない こーちゃんが電話で呼びかけてくるも、今の俺にそんな余裕はない 「………亜希」 俺の名前を呼ぶ彼方の声。いつもより低いその声音に… あぁー… 死亡フラグを立てたかもしれない、と本気で思った。
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