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カメラのシャッター音が、礼拝堂にパシャリと響く。
その音を聞き取った子供達がこちらに振り向いた。
遼「いい画、いただきましたー!」
セレナ「いらっしゃいませ、ハナミヤ様!」
アイナ「あんたが言うことじゃないでしょ。」
嬉しそうなセレナとアイナ。
キョトンとする子供達は、2人にあれは誰だと、質問を次々と投げ掛ける。
そんな子供達の前を通って、こちらに向かって歩いてくる1人のシスターらしき人物。
「どうも。
セイント孤児院へようこそ。」
遼「いやいや、こっちこそ急に来てすんまへん。
ご迷惑やないとえぇんですけど。」
テレサ「いえ、とんでもございません。
私、ここで子供達の義母をやらせていただいてるテレサと申します。
よろしくお願いいたします。」
遼「紅蓮隊率いさせてもらってる華宮遼です。
どうぞよろしく。」
お互いに挨拶を済ませた所で、テレサは俺を別室へと案内した。
その部屋は、礼拝堂に比べれば、とても小さな小部屋。
三畳一間の中央に丸いテーブル。
椅子が2脚配置されていて、インテリアは、少し大きな十字架が1つ、壁にかかっているだけだ。
テレサ「どうぞ、座って下さい。」
遼「あ~、すんまへん。
ありがとうございます。」
椅子に腰かけた俺は、癖でテーブルの上に足を置きそうになるのを、気づいて止めた。
しかもここは禁煙らしい。
テレサ「ハナミヤ様……でしたよね?
いつも、うちの子がお世話になっています。」
遼「いやいや、めっちゃ頑張ってますよ。
本真えらいですわ、まだ若いのに。」
テレサ「フフッ……若いって、ハナミヤ様もまだお若いでしょうに。」
遼「あ、本真や……。」
テレサと世間話をしていくと、色んなことが見えてくる。
セレナやアイナの場合は、両親を病気や事故で亡くして、いく宛がなかったので、この孤児院に預けられた。
しかし、やはりこの世界にもネグレクト……育児放棄は存在するようだ。
理由はどうであれ、それは本来あってはいけないこと。
しかし、それをしてしまう人間がいるのも確か。
いくら否定しても仕方のない事実なのだ。
この問題を受けて、もともと心優しく、子供好きだったテレサは、様々な問題で行き場を無くした子供達を養護する施設を開院。
それが、このセイント孤児院なのだ。
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