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彼女は、その違和感の正体を確かめるべく、自室へと戻り、小包を開けた。
テレサ「え!?」
思わず、手で口を覆ってしまう。
テレサ「……何てことなの。」
小包の中には、いつも通りのお金が入っているはずだった。
しかし、今回届いた小包の中には、今までの2倍、3倍程度では済まないほどの大金が入っていたのだ。
彼女は、驚きと嬉しさに感情を支配されながらも、小包のもう1つの中身である、セレナとアイナからの手紙を手に取った。
そこに書かれていた内容は、王女様を救出した、大事な客人の専属メイドになったことや、日々の城での出来事等が記されていた。
テレサ「なんて凄い子達なの。
本当に誇りに思うわ。」
自室で一人、手紙を胸にあてながら目を閉じていた彼女は、しばらくしてから立ち上がり、お金の保管場所である、クローゼットの中に隠された金庫へと、小包を移動させた。
それから数日が経った、とある日の事、彼女は、食材が足りなくなっていることに気づき、王都へ買い出しに出掛けた。
そしていつも通う、活気溢れる市場で買い物をしていると、たまたま知り合いに遭遇する。
彼女は、久しぶりに再会した友人との話に夢中になってしまい、ついあの大金の事を口にしてしまった。
どんな人間が側にいたかも知らずに……。
そして、それからまた数日が経った日の夜、子供達が寝静まった後に、事件は起きた。
コンコンコン
孤児院の扉をノックする音が、静寂の中に響き渡る。
こんな時間に、誰かが来ることなど、初めてだ。
彼女は、少し警戒しながら、扉を開ける。
するとそこに居たのは、いつも小包を届けてくれる男性だった。
テレサ「どうしたんですか?
こんな時間帯に。」
「……」
彼女の問いに、彼は答えなかった。
何か違う、と感じた彼女は、夜の闇が辺りを覆う中、目を凝らした。
すると、どうだろう。
彼の顔は、アザだらけで、白目を剥いているではないか。
テレサ「キャッ!?」
彼女が叫んだ瞬間、彼の体はバタリと地に沈んだ。
そして、その後ろから、男が数人現れ、慣れた様子で彼女を取り囲む。
「見つけたぜ、シスターさん。」
「そう怖がるなよ。
別に危害を加えようってわけじゃねぇんだからさぁ。」
下卑た笑いを浮かべる男達に、危険を察知した彼女は、外に出て、扉を閉めた。
こいつらを、子供達に会わせてはいけない。
そう思ったのだ。
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