My Sweet Home…

6/17
前へ
/20ページ
次へ
遼『毎度~。』 総帝『おっす!総督~☆』 遼『なんや、どないしたんや総ちゃん。』 総帝『いや~、実はよぉ……。』 しばらくの電話の後、また手帳に新しいスケジュールを加える。 内容は、モンスターの大量討伐依頼。 運悪く、依頼達成予定日に人手が足りないことが判明したので、俺が急遽出払うことになった。 最近の俺は、こういった便利屋のような仕事も受けているのだ。 もちろん、有料で。 遼「さて……と。」 車を降りた俺は、建物の扉をノックする。 コンコンコン すると、10秒もしないうちに扉が開いた。 ガチャ 「どうも、いらっしゃいま…… ッ!……は、ハナミヤさん!?」 出てきたのは、金色の髪をソフトモヒカンにした、ガタイのいい男。 なんで、そないに驚くことがあんねん? 遼「どうも。 そないに驚かんでもえぇがな。」 「い、いや、え? あぁ、覚えてないですよね。」 遼「なんや、どっかで会っ…… あ!あのブタの所におった!?」 「そ、そうです!覚えてくれてたんスね!? あの時は、本当お世話になりました。」 遼「いやいや、別にえぇがなそんなもん。 それにしても久しぶりやのぉ~、元気しとるんかい?」 「はい!」 この兄ちゃん、よくよく思い出してみれば、会ったことがあった。 紅蓮隊が発足してから間もないころ、貴族の館にカチ込んだ時、救出した奴隷の一人や。 「まぁまぁ、とりあえず中へ。」 俺は、兄ちゃんの言われるまま中へと足を踏み入れた。 奥の方からは、子供達の騒ぎ声と、セレナとアイナの声がする。 久方ぶりの再会だけあって、かなり楽しそう。 内装は、かなり質素。 ほぼ木造で、床を踏みしめる音が廊下に響く。 「いやぁ、でもまさかハナミヤさんが来るなんて、思いもしなかったですよ。」 遼「そらお前、こっちのセリフやがな。 ビックリしたわ本真。」 兄ちゃんは、開けた1つの扉の前で止まった。 「どうぞ。」 ……扉の向こうには、平和という言葉の意味が存在した。 広々とした1つの礼拝堂。 そこに集まった年齢も性別もバラバラの子供達。 そんな子供達の笑顔に囲まれているセレナとアイナも、また笑顔。 それを微笑みながら、遠くで見守っている、40~50代の女性。 俺は、いてもたってもいられず、ポケットから携帯を取りだし、その光景を写真に収めた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加