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遼『毎度~。』
総帝『おっす!総督~☆』
遼『なんや、どないしたんや総ちゃん。』
総帝『いや~、実はよぉ……。』
しばらくの電話の後、また手帳に新しいスケジュールを加える。
内容は、モンスターの大量討伐依頼。
運悪く、依頼達成予定日に人手が足りないことが判明したので、俺が急遽出払うことになった。
最近の俺は、こういった便利屋のような仕事も受けているのだ。
もちろん、有料で。
遼「さて……と。」
車を降りた俺は、建物の扉をノックする。
コンコンコン
すると、10秒もしないうちに扉が開いた。
ガチャ
「どうも、いらっしゃいま……
ッ!……は、ハナミヤさん!?」
出てきたのは、金色の髪をソフトモヒカンにした、ガタイのいい男。
なんで、そないに驚くことがあんねん?
遼「どうも。
そないに驚かんでもえぇがな。」
「い、いや、え?
あぁ、覚えてないですよね。」
遼「なんや、どっかで会っ……
あ!あのブタの所におった!?」
「そ、そうです!覚えてくれてたんスね!?
あの時は、本当お世話になりました。」
遼「いやいや、別にえぇがなそんなもん。
それにしても久しぶりやのぉ~、元気しとるんかい?」
「はい!」
この兄ちゃん、よくよく思い出してみれば、会ったことがあった。
紅蓮隊が発足してから間もないころ、貴族の館にカチ込んだ時、救出した奴隷の一人や。
「まぁまぁ、とりあえず中へ。」
俺は、兄ちゃんの言われるまま中へと足を踏み入れた。
奥の方からは、子供達の騒ぎ声と、セレナとアイナの声がする。
久方ぶりの再会だけあって、かなり楽しそう。
内装は、かなり質素。
ほぼ木造で、床を踏みしめる音が廊下に響く。
「いやぁ、でもまさかハナミヤさんが来るなんて、思いもしなかったですよ。」
遼「そらお前、こっちのセリフやがな。
ビックリしたわ本真。」
兄ちゃんは、開けた1つの扉の前で止まった。
「どうぞ。」
……扉の向こうには、平和という言葉の意味が存在した。
広々とした1つの礼拝堂。
そこに集まった年齢も性別もバラバラの子供達。
そんな子供達の笑顔に囲まれているセレナとアイナも、また笑顔。
それを微笑みながら、遠くで見守っている、40~50代の女性。
俺は、いてもたってもいられず、ポケットから携帯を取りだし、その光景を写真に収めた。
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