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「退場。」
「え?」
「いいからさっさと進む!」
遥香がそう言ったのと同時に、琴音は周りを見て唖然とする。
どうやら、琴音がもんもんといろんなことを考えている内に退場の合図が出たらしい。
前にいた子は全員後ろを向いていて、何人かは琴音の方に目を向けていた。
「うわっ!ごめん!」
やっと周りを理解して、くるりと体を反転させる。
それと一緒に、視界の端に入ったものに顔を赤くさせた。
ーーー目、合った?
うわ、恥ずかし。なんて失態を見られてるんだ。
頭を抱えそうになるが、それより琴音は喜びの方が大きかった。
幸先いい感じじゃん。
音符が付きそうな勢いで足を進める。
それを、遥香は怪訝そうな目でため息をつきながら見ていた。
高校最後の体育祭。
楽しくなれと、心の中で強く祈った。
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