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「チャンスじゃん。」
そう言えば、自分の心が大きく悲鳴を上げたのを感じた。
旬の恋を応援するときは、いつも1番彼が好きなんだと柚葉の中で再確認させられる。
もうそれは、高2になってからずっとの話で、もう何度となく感じた痛みであったが、どうしても慣れることはできない。
そんな、痛みと苦しみだった。
「無理だって。」
そんな柚葉の葛藤も知らないで、旬は辛そうに顔を歪めた。
「これ逃したら、もう終わりかもよ?」
「逃すも別に…。告るつもりとかねぇし。」
旬はそう言って、少し長い前髪を弄った。
それを見て、嘘吐き、と柚葉は心の中でつぶやいた。
嘘をつくとき、前髪を弄るのは旬の癖だ。
それも、柚葉が半年間旬を見てきて、自然とわかったことだった。
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