流れ星たちの、パレード

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その視線の先には、50人前後のオネエが、 白鳥の湖が、流れては、いるんですけど、 白鳥でも、なく、 黒鳥でも、ない、 灰色…………、のプリマドンナ姿で、 それはもう、美しく爪先立ちしながら 次々と、華麗に入場してきた。 いつものコミカライズな動きは封印し、 あの、風体なのに、 高貴ささえ感じさせるような美しい舞いに 会場からは溜め息さえ出始めている。 「エルドラド魂、ここに有りだね。 ……………でも、 もたんやろ、長くは。」 沢野の言葉通り、 エルドラドママが、思いっ切り胸のホイッスルを吹いた瞬間、 全員が総ガニ股でぴょんぴょん横っ飛びしだし、 とたんに、豆手ぬぐいをもちだし、一斉にドジョウすくいをし出すと、 その後から、坊僧族のみなさんのフラダンスチームが乱入してきて、 場内のあちこちからドッカンドッカン爆笑がまきおこっていた。 「……………やっぱりね。」 沢野は、いつものエルドラドの空気に失笑していると、 みんな満面笑顔の中パレードを楽しんでいるのに、 部屋の片隅で真剣な顔をして話し合っている、夏輝と結城のただならぬ様子が気にかかった。 沢野を気にかからせた、二人の会話は、 「夏輝さん、 オネエとニューハーフの違いって、 何なのかな?。」 「先生、意外と深いんで、あとでメールしてもいいですか。」 「ありがとうございます。 沢野くんはニューハーフではないんですよね。」 「言葉とお気持ちだけで、女性化しようとはなさってませんから オネエどまりでしょうね。」 この会話を聞いたら、沢野がひっくり返りそうだが、 「まあ、どうでもいい話は置いておいて、 先生、 いよいよ、パレードとともに、 りりこさんのおかげさまで、 意外な謎が、解け始めてきたんですよ。」 「僕も、仇討ちを、開始します。」 にぎやかなパレードをながめながら、 二人は静かに、意味深な微笑みを交わし合った。 すでに、次のページは、 開かれているのだ。
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