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ただならぬ蔵元の叫びに、シャワーから慌てて駆けつけたワインレッドのガウン姿の黒澤が、激しくドアを叩くと、
眞田はハイビスカス模様の浴衣姿になぜかタオルでねじりはちまきをしながらピンのようなもので鍵穴をこじあけはじめ、
角田はくまさん模様の赤いパジャマで金属バットを片手にドアが開くのをまだかまだかと待っている。
その様をシンプルなブルーのストライプのパジャマの矢島に、色違いのピンクのネグリジェを着たカゲヤマが、セットで唖然とした様子でその様を見守っているところに、
いつもの女装姿と違って、ブラックのパジャマをさらりと着た美青年の様の夏輝が、不安そうにやってきた。
気がついた矢島は振り向き、
「おう、夏輝、
オマエ寝るときはノーマルに戻るのな。」
「はい、一日一回はリセットしないとですね。
一応オトコのコですし、
社長、どうしたんですか、ものすごい表情になって皆んなを見てて……。」
「いや、
………みんなもの凄くひでえ格好してるなって思ってさ。
いつも朝キチンとした姿でスッキリ出てくるから、プライベートルームの姿、あんなとは想像つかなくってさ。
黒澤のガウンなんて、昭和じゃねえけどこに今売ってあんのかなって?。」
矢島が自分の衝撃を解説している間にドアが開き、
そこから、今度は白ガウン姿の蔵元がよろよろと倒れ出て、よく見たらキスマークだらけで、メンバ一全員顔面蒼白になり、
蔵元の後ろにパジャマ姿で立っていた沢野に一気に視線が集中したが、
「ちょっ、
ちょっとお、アタシ寝てる人間に、手、出す趣味ないから勘違いしないでよ!」
そうまくしまくった沢野の
に眞田は、冷や汗を流しながら、
「ああた、この状況で誤解するなと言われても………。」
と、残念なお知らせを告げた。
電話が蔵元の悲鳴で切れたまま、中途半端になっている多岐川の方は、
いったい何があってるのか不安でたまらくなっていたが、
勢いよく開いたドアから綺羅の極上の笑顔がのぞいたら、つい、勢いよく切ってしまった。
「えりさ、ベッドで朝食、とろう!。」
綺羅は、楽しそうにトレイを抱えて部屋に入ってきた。
「べ、ベッドで?。」
「ちょうどいい感じのサイドテーブルあったし、
お客様に大好評だから、自分でもやってみたかったんだ。
えりさとだったら、
多分もっと楽しい。」
その無邪気な笑顔は、
多岐川から抵抗力をあっさりと奪い去った。
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