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「でも、恵ちゃんの分も兼ねてるんだから、それも侘しいんじゃない?」
「アハハ…そんなこと気にしてないよ。俺は」
「相変わらず、優しいわねぇ。恵ちゃんは」
お母さんは袋を受け取りながら、ケイを気遣った。そして、袋をトンとダイニングテーブルの真ん中に置いた。
「ちょっと!俺のも兼ねているんだから、俺も同じじゃない?」
「厚かましいなー!ケーキを取ってきたのはケイでしょ。シンは何もしてないじゃん」
「コハルだって、してないじゃん!」
「まあ、まあ…」
いつものように、言い合いを始めるあたしとシンをケイが宥める。
「私、今からリカコちゃんのところに行くけど、三人で毎年恒例のお祝いやるんでしょ?」
「うん」
「そ。じゃあ、ごゆっくりね」
お母さんは手をヒラヒラさせてリビングを去り、
「3人ともお誕生日おめでとー!」
と玄関先から大きな声で言い残し、家から出て行った。
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