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「絶対、絶対怒らないで聞いて下さい」
何度も怒らないと言ってるだろ。
口がないから喋れてはいないけどさぁ。
「うぅ~…」
しばらくエロス様はこっちをチラチラ見ていたが、覚悟を決めたのかこちらに向き直る。
「じ、じゃあ言うわよ!」
よし、どんとこい。
「実は………部下の一人と蜜月を過ごしていたら…他の部下がグレて………近くにあったところてんを思いっきり投げたそうなの…」
あれ、オレの死因ただのとばっちり?
「その時のその部下の叫びが…『俺も神様とエッc(ry
はい、ストーップ!!!!!
「や、やっぱり怒ったぁ~(涙)」
違う!放送禁止用語!!
「……?(泣)」
……こっちの話だから気にしなくていいよ…
「そ、そう……で、でね!私も…その……神様として貴方に謝りたいと思って…」
はて、何かニュアンスが違ったような……貴方?
「それでですね!貴方に別の世界での生活を考えたの!」
何やら自信満々、といった感じで胸に両手を当てている。
胸元?……違う、両胸だ。
ついでに言うと鷲掴んでいる。
「言ってしまえば転生!貴方はもう一度赤ちゃんから人生をやり直せるのよ!」
さっきも蜜月を~とか言ってたからなぁ。……流石は愛の神。 赤ちゃんと来たか。「そして貴方は、その世界に行く理由を見付けてください」
……は?新手の無茶振り?いやいや、どう考えても無理じゃね?
「いえ、向こうに着いてからでもいいです。とにかく一つ、貴方を世界に呼びつけるので、何のために行くのか。それを考えてください。」
マジ無いわあり得ねえわマジで。てか神様なんだからどうにか出来んだろ…。あ、そっか。愛と性欲の神だから『新しい命』じゃなきゃ無理なのか。
「……あの~、貴方の考えていることは全て聞こえてるのですが…」
おっと失礼。で、なんだって?
「……要するに生まれ変わってみませんか?という提案よ…」
何だかエロス様はお疲れのようだな。
「エロス言うな!エロエロエロエロエロエロス言うな!いいもん貴方なんか女の子にしてやるもん!」
エロス様は右手を高く上げると、よく響く指パッチンをした。すると、地面とおぼしき空間に穴が開き、オレは落ちる。
ってちょっと待て!オレは元から女なんだけどぉぉおおお!!!!
――そんなオレの叫びは、小さな真っ暗な空間に虚しく木霊した……
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