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「……」
なぜこの俺がこんなところに――。
賑やかな校門の前に立ち、黒髪の少年はちいさくため息をこぼした。
名をユミルという。
ぼさぼさの髪の毛に黒色の双眸。
汚れた黒色のローブ。
見るからにこの場所――魔法学園アスファルディア――にそぐわない容貌だがそれにはある理由があった。
それは――
「おい」
不意に背後から声がかけられる。
「……」
ユミルの振り返った目の前、そこに立つのは金髪のガラの悪そうな少年。
「お前だよな? あの"ユミル一族"の末裔ってのは」
「……」
かつて最もこの世界で優れた魔法使いと呼ばれた黒髪黒目の一族――"ユミル"。
その血を引く最後の子孫、それが今この場に立つユミルその人だからだ。
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