第一章

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今日は秋風が少し肌寒い夜だった。 「あ、悠君。来てくれたんだね」 僕より先に着いていた柯菜は、軽く手を降りながら僕を呼んだ。 シャトリーゼの時とは違い、制服ではなく私服だった。 黒のワンピースに身を包み、小さな赤いトートバッグを肩にかけている。 高校生にしては少し背が低いためか、制服を着ていても中学生に見えることがあったが、私服姿を見ると高校生らしい大人びた感じがする。 だがその分、落胆もあった。 これで待ち合わせ場所が喫茶店とかなら、デートみたいで楽しめただろうに。
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