第一章

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ここは街外れにある廃墟。 確か昔は市の体育館だったらしいが、数年前に欠陥工事が発覚。 使用不可能となった。 市民からは早急な撤去を要求されたらしいが、市は大きな体育館を解体、撤去するには費用がかかるとして、話を先伸ばしにしているらしい。 今では完全な廃墟となり、ここに来るのは柄の悪い不良ぐらいなもの。 ここからでも体育館の屋根が見えたが、台風や嵐のせいか傷み、幽霊でも出そうな雰囲気だ。 少なくとも一般人には縁のない場所だろう。 つまりここでは何をしようと、表に発覚する危険性が低い。 「じゃあ、いこっか」 柯菜はとことこと廃墟に向かっていく。 機嫌がいいのか、足取りが軽い。 今にもスキップをしそうだ。 サンタクロースを待つ子供のように、眼が輝いている。 これから何が起こるのか。 詳しい話は聞いてないにせよ、物騒なことになるのは間違いないだろう。 僕はああ、と返事をし、柯菜の後を追った。
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