プロローグ

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僕は内心驚いていた。 外見の違いに大差はないが、味にはちゃんと変化がある。 だから何処かに変化があると思ってはいたが、スポンジに工夫がされていたとは。 僕は思ったままを口にする。 「それは知らなかったな」 柯菜は少しだけ、その違いも解らないのとでも言いたげな視線を向けたが、そのまま話を続ける。 「それじゃあ全体が栗の味になっちゃうかというと、そうでもないの。どうやっているのか解らないけど、ちゃんと味が整えられてる」 「へぇ。そこがこの限定マロンの魅力、という訳だ」 「そうなの!」 とこれまた幸せそうな笑みを浮かべる。 「見た目はいかにも王道のモンブラン。でも王道っていうのはね、裏をとると普通ってことなの。でもこのモンブランは全然違う。王道かつ、独創的なこのモンブランは、この一辺の中ではNo.1なの」 ケーキのこととなると、急に饒舌になるのも柯菜の特徴だ。
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