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茉理愛は、十吏と分かれて自力で地図とにらめっこしながら教室に向かって歩いていた。
「おや、可愛い子猫ちゃんですね?今日、転校してきた噂の女の子は貴女の様です。私は、二年の三条宮アレクです。よろしくお願いします。」
「早乙女茉理愛です。よろしくお願いします。」
金髪碧眼の長身で爽やかなハーフの彼の美しさに茉理愛は、ポーッとなっていました。
そして、アレクは茉理愛のぽっちゃりした手を取ると手の甲に口づけをして膝を曲げて茉理愛に忠誠を誓う儀式を始めた。
「この可愛い手に誓って私は今日から貴女を衛る騎士になります。だから、誰の者にもならないで下さい。」
「アレク先輩、恥ずかしいです。こういうのは他の女性にされた方がいいと思いますよ?失礼します。」
「茉理愛…ああ、何と可愛い子猫ちゃんでしょう?この学園に新しい風が吹きそうですね。フフフ。」
「アレク、楽しそうだね?あの子がタイプなのかな。
そうじゃなければあの子に騎士の誓いをする筈無いと思うけどね。」
「北条先生は、彼女をどう思いますか?ただの一般庶民の女の子と見るなら違いますよ。あの子は、これから変わると思います。そして、素敵な王子に恋をするのです。」
保健室の養護教諭の北条路公(ほうじょうみちたか)
は、秦一郎とはタイプは違うものの同じ教師で幼馴染。
「やっと着いた。広くて迷うから大変だよ。」
「茉理愛さん、初日早々大変だったね?あっ、私貴女と同じクラスの藤城珠季。よろしくね。一般庶民がこの学園に転校して来るの珍しくて周りはギスギスしてるのよ。でもね、貴女が強く逞しくこの学園で生きていけるなら周りも変わると思う。だから、私は貴女が変えてくれるの期待してるんだ。」
「私が一般庶民と言うだけではなさそうですよ。初日早々から理事長の孫の双子の兄弟に会って色々ありました。」
「闇と光の王子様に会ったの?うちの学園の中でも色づいた呼び名がある王子様達は別格扱いなのよ。俺様タイプが闇王子でいかにも優しい人でピアノをひいてる彼が光の王子よ。」
茉理愛は、転校して早々別格扱いの王子様達に出会い、やっかみをかわれたようだ。ついていない茉理愛に珠季は驚いている。
「分を弁えろと言う事ですね。大人しくしています。」
「それは無理でしょ?目をつけられた以上どうにもならないよ。」
「ひっそりもダメですか?」
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