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『更に前半終了時と後半終了時の二回、その時点で最も釈放時間を獲得していたプレイヤーにはボーナスとして、それぞれ「12」時間の釈放時間が与えられます』
この二回のボーナス、ベアーが言うには同率のプレイヤーがいる場合は、そのプレイヤーで山分けとなる。
『つまり、全員で毎回パーフェクトプルを達成し続ければ、パーフェクトプルのボーナスである合計24時間、更に前半終了時と後半終了時のボーナスのトータル24時間を6人で分配した4時間の釈放時間、合計28時間もの釈放時間を全員が獲得してゲームを終えることが出来るのです』
他のゲームでは28時間もの釈放時間をここまで簡単に手にすることができるゲームは無いという。
つまり、この多人数ロシアンルーレットは釈放時間を全員で稼ぐ為のボーナスゲーム。
しかし、僕には、僕だけじゃなく恐らくここにいる全員が、その言葉をすんなりと受け入れられるほど残念ながら素直では無かった。
「裏切り」その言葉が頭の中を虫のように這いずり回る。
パーフェクトプルを達成するには、全員が前半と後半と、それぞれ一度しかない大量の釈放時間を稼ぐことができるチャンスである装填者の特権を放棄しなくてはならないのだ。
『そしてもう一つの注意事項は、こんなことは恐らく起こり得ないことだとは思うのですが、装填者の自殺に伴うペナルティです』
装填者の自殺、つまりは装填者が自ら込めた弾で発砲してしまうことを意味するのだろう。
『もし万が一に、装填者が引き金を引き、自ら込めた弾で発砲してしまった場合、それは自殺となってしまいます。その場合は装填者には大きなペナルティを支払っていただきます』
「大きなペナルティ?」
『自殺をした装填者に支払っていただくものは、釈放時間「12」時間です』
「12時間って!」
楓は驚いたように声を上げた。12時間のペナルティ、それはあまりに大きなものであった。
『しかし、ご安心ください。弾の位置を把握している装填者が自殺することなど普通ならば絶対にありません。ですが、装填者になられた場合は、どうかボタンの押し間違いのないようにお願い致します』
確かに弾を込める装填者が、自らの弾を発砲してしまうことなど普通なら有り得ない。
しかし、装填者になって弾を込める場合は考えの上でも、ボタンを押す上でも慎重になる必要があるということだ。
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