1.説明

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『ロシアンルーレットは文字通りロシアが発祥とされるゲームです。皆様もご存知の通りリボルバー式の拳銃に1発の実弾を装填し、適当にシリンダー、つまり弾倉を回転させ、プレイヤーが1人ずつ自分のこめかみに向けて引き金を引く、命をベットしたシンプル且つ究極の運試しゲームです』 僕は驚いた。そんな不条理なゲームが存在することに。しかしベアーの言い方すれば、これもババ抜きのようによく知れ渡ったゲームの一つであり、僕はなんとなくだが自分の記憶の規則性について理解し始めていた。 拳銃のことは覚えている。でもそれを使ったゲームは覚えていない。それは前回のゲームも同じでトランプのことは覚えていてもババ抜きのことは覚えていない。 つまり僕の記憶は道具や物体の直接的と言える名前や用途は覚えていても、それを使ったゲームなどの応用と言える二次的な事までは覚えてはいなかった。 『今から皆様にはこのロシアンルーレットに準えたゲームを行ってもらいます』 そこまでの説明を聞いた楓の顔には不安というよりも恐怖が浮かんでいた。当たり前だ。命を賭けたゲームをさせられるなんて聞いていない。 そんな楓を見てベアーは小さく笑う。 『しかし安心してください。このゲームで皆様に賭けてもらうのは命では無く、釈放時間となりますので、万が一拳銃を発砲してしまっても怪我することもありません』 楓は胸を撫で下ろす。 『このゲームは以前行ってもらったパーフェクト・フェア・オールドメイドよりも少し複雑になりますので、詳しいルール説明の前に、先ずはこの多人数ロシアンルーレットの大まかな概要からお話し致します』 ベアーは先ほど取り出した回転式の拳銃をテーブルの中央に置いた。全員の視線がそれに集まる。 よく見ると、その銃は一般的なリボルバーよりも一回り大きく、造りも精巧に出来ているが、何処か玩具っぽさを感じるものであった。 『このゲームは前半6回、後半6回の全12回のゲームに別れて行われます。先ず一回目のゲームが始まると私が皆様6人の中から1人の親をランダムで決定致します』 その親のことをこのゲームでは「装填者」と呼ぶらしい。 『装填者に選ばれたプレイヤーは、お手元のテーブルの縁にあるランプが小さく点灯します。このランプは他のプレイヤーからは見ることは出来ません』
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