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ルールを把握するためのリハーサル回。ベアーはこのリハーサルの結果は一切本番とは無関係であり、釈放時間を失うことも得られることも無いと付け加えた。
『では先ずは装填者を1人ランダムで選ばさせていただきます。ちなみに本戦では公平を期す為に、6回ある前半に1人一回ずつ、6回ある後半も1人一回ずつ、全ゲームを通し皆様多くも少なくも無く必ず二回、装填者になれるようになっております』
確かにここまでの説明なら、このゲーム圧倒的有利な立場に身を潜められるのは間違いなく装填者。
6人のプレイヤーが前半、後半それぞれ一回ずつなれるというのは公平にゲームを進めるための必要不可欠な配慮であった。
『ではこのリハーサル回の装填者が決定しました。皆様テーブルの縁のランプをご確認ください』
僕を含めて全員の視線が手元のランプへと向けられる。僕のランプは無点灯、つまりこのリハーサル回の装填者にはなれなかったようだ。
顔を上げる。皆を見渡す。6人全員が自分のランプは点灯していないとでも言うように、ランプと同じで無表情を取り繕う。
だが、この中に必ず1人のランプが点灯した装填者が紛れ込んでいる。
やはり装填者はその身を隠すのが得策なのだろうか。
『では次に引き金を引く順番を決定します』
ベアーはそう言って6人全員に6枚のカードを1枚ずつ引かせていく。徐々に数を減らしていくカード。
僕が引いたのは「3」のカード。よく見ればそのカードはパーフェクト・フェア・オールドメイドで使った物と同じ物が使用されていた。
『この時点ではまだ私は皆様が何番のカードを引いた把握しておりません』
全員がカードを引き終えてからベアーはそう言った。
『順番の確認はカードの回収時に行いますので、くれぐれもカードを無くさないようにお願い致します』
僕は自分だけが知るそのカードを、他のプレイヤーから見られないように裏向きでテーブルの上に置いた。
『では順番カードの回収の前に、装填者に弾の装填を行ってもらいます。このリハーサル回の装填者は弾を何発目に込めるかテーブルの縁のボタンを押し決定してください』
プレイヤー全員の視線が互いに注意深く交差し合う。嫌な緊張感。身体を少しでも下手に動かせば自分が装填者だと疑われてしまうように思えてしまう。
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