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『これが順番カードによって決定したこのリハーサル回の引き金を引く順番となります』
一番目は灰島、二番目は中丸、三番目は僕、四番目は猫田、五番目は楓、六番目は長沼。
液晶モニターには上からその順番に僕たちの名前がお行儀よく並んでいた。
『名前の横の数字、今回は皆様「12」で統一されたその数字は、皆様の所持している釈放時間となります』
12時間の釈放時間ということは恐らくここにいる全員がパーフェクト・フェア・オールドメイド以降初めてのゲーム参加になるらしい。
『では一番目の灰島様、リボルバーをどうぞ』
ベアーは回転式拳銃を骸骨のように痩せこけた男に手渡した。どうやら骸骨の名前は灰島と言うらしい。
灰島は渡されたリボルバーを恐る恐る自分のこめかみへと向ける。その手は僅かに震えているように見えた。
『リボルバーを手にしたプレイヤーが行える行動は先ほどは引き金を引くことしか説明しませんでしたが、実際は二つです』
その二つの行動の一つを「プル」と言い、もう一つを「パス」と呼ぶらしい。
『「パス」は言葉の通り、引き金を引かずにそのままリボルバーを次のプレイヤーに渡すことが出来ます。しかし代償としてテーブルにパス代の釈放時間2時間を支払っていただきます』
つまり今の灰島からすれば、1発目に弾が装填されていると予想した場合は、2時間の釈放時間をテーブルに支払ってでもパスをした方が得策ということになる。
『一方「プル」は自分のこめかみに向け引き金を引く行動を意味し、もし引き金を引き弾が発砲されない、つまりはプルが成功しましたらリボルバーを次のプレイヤーへと渡すことが出来ます』
プルを成功させればパス代を支払わなくて済む。釈放時間2時間という代償は12時間しか所持していない僕たちにとってあまりに大きなもの。
『しかし、もしプルを行い、失敗、つまりは弾を発砲させてしまった場合、弾を発砲させてしまったそのプレイヤーはその回の装填者にペナルティとして釈放時間4時間を直接支払っていただきます』
発砲のペナルティは釈放時間4時間、そして発砲の成功として装填者はその4時間を手にすることができる。
パス代を躊躇し、万が一にでも発砲してしまったら所有する釈放時間12時間の、その三分の一もの時間を一発で失ってしまうことになる。
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