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思考のジレンマ。
確実に2時間を失うパスか。
4時間を失う恐れがあるプルか。
装填者以外のプレイヤーにとって、パスもプルもどちらもまるで最悪な選択にしか思えなかった。
『誰かが発砲した時点、或いは6人全員の順番が回り終えたその時点で、その回のゲームは即時終了となります』
「テーブルに残ったパス代はどうなるんだ?」
楓は必死に頭の中でルールを整理しながらその質問をする。
『テーブルに残ったパス代の分配方法は三通り。一つ目は、装填者が発砲に成功した場合、この場合はテーブルに支払われていたパス代を装填者が独り占めすることができます』
つまり装填者は発砲に成功すれば、発砲してしまったプレイヤーからの4時間だけで無く、テーブルにあるパス代も全て獲得することができる。
やはりこのゲーム、如何に自分が装填者の回で釈放時間を稼げるかが重要になってくるわけだ。
『二つ目は、引き金を引いたプレイヤーがいながらも誰も発砲しなかった場合です。この場合はテーブルにあるパス代を装填者である無いに関わらず引き金を引いたプレイヤー全員で均等に分配します』
例えば2人のプレイヤーがプルに成功し、4人のプレイヤーがパスをしたとする。
するとテーブルには4人分のパス代である8時間の釈放時間が支払われており、プルに成功した2人のプレイヤーはその8時間を分配、つまり4時間ずつの釈放時間を獲得できる。
引き金を引けば装填者でなくとも釈放時間を稼ぐチャンスがあるということだ。
『最後はパスしたプレイヤーが1人だけで、残り5人のプレイヤー全員がプルに成功していた場合です。この時だけはパスをしたプレイヤーにペナルティが発生してしまいます。何故なら1人のパス代2時間だけでは、5人のプレイヤーでそれを分配することができないからです』
確かにと僕は納得した。
もしパスをしたプレイヤーが2人ならば、プルに成功した4人のプレイヤーでパス代4時間を1人1時間ずつ分配することができる。しかしパスしたプレイヤーが1人ならばそれは出来ない。
『そのような場合、パスをした1人のプレイヤーにはパス代の代わりに、プルに成功した他の5人のプレイヤーに1人1時間ずつの釈放時間を支払っていただきます』
つまり本来2時間のパス代が、この時だけは5時間になってしまうということだ。
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