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「弾の位置が見えるって冗談ですよね?」
灰島の言葉にバッタは冷たい笑みを浮かべながら首を横に振る。
「いいや本当だよ、俺には丸見え、筒抜けだ。その証拠に、このリボルバーの弾の位置を当ててみよう」
バッタはそう言うと瞼の裏側に何かを見るように目を閉じて、そして暫くするとゆっくりと目を開けた。
「見えたよ、弾の位置は間違いなく1発目だ」
バッタはそうはっきりと断言した。
確かに1発目は誰が見ても最も怪しい場所、しかしそう断言できるほどの根拠なんてあるのだろうか。
「茶番だわ」
猫田が呆れたようにそう言った。
「茶番?」
「簡単な話よ、今回の装填者はバッタ、あなただったってだけの話よ」
装填者なら自分で弾を込めれているのだから、弾の位置が1発目だということは当然だが分かっている。
だが、バッタは猫田のそんな推理を部屋の中に響き渡るほどの下劣な笑い声で掻き消した。
「装填者は俺じゃない。そんな姑息な真似を俺はしないさ」
「装填者は誰か分からない、何とでも言えるわ」
「じゃあ猫田さん、引き金を引いてみせよう。俺はプルを選択する」
そしてバッタは躊躇うことなくリボルバーの引き金を引いた。
直後に部屋の中に『パーンッ!!」と何かが爆発したような大きな音が響く。それはバッタが持つリボルバーから発せられたものであり、リボルバーからは白い煙のようなものが微かに溢れていた。
『長沼様の発砲です。長沼様は今回の装填者に釈放時間4時間を支払っていただきます』
ベアーはそう言って、僕は直ぐにバッタのことを見た。
彼はルール説明のときに言っていた通り怪我すること無く平然と、むしろその結果に満足するようにベアーの言葉を聞き入っていた。
「本当に1発目に…あなた自殺をしたのね」
弾の位置を知っている装填者が、自ら発砲する自殺、猫田はそう疑うがバッタのその顔から冷たい笑みが消えることは無かった。
「自殺?では結果を見てみようじゃないか」
『では皆様リハーサルお疲れ様です。ちなみに今回のリハーサルの結果はあちらのようになります』
液晶モニターの表示が切り替わり、そしてリハーサルの結果が投影される。
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【リハーサル回】
1.灰島/10
2.中丸/10
3.久崎/10
4.猫田/10
5.楓/24
6.長沼/8
テーブル/0
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