2.号砲

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「どうやってですか!」 楓は驚いてそう聞き返すが、バッタが弾の位置を的中させたのは、考えてみればそれほど難しいことでは無かった。 「あのときバッタさんは、最後の順番の6番目でした。そしてバッタさんは分かっています。自分が装填者じゃないことを。それが弾を的中させた鍵となります」 「自分が装填者じゃないって…確かにそうですけど」 「自分が装填者じゃなければ、自分以外の誰かが装填者になりますよね。そうなるとバッタさんからすればあのゲームは可笑しな展開だった」 バッタからすれば自分以外の5人のプレイヤーの中の誰かが装填者であり、バッタは最後の順番なのだから、必然的に装填者の順番は既に回ってきていたことになる。 「5人のプレイヤー全員がパスを選んだ、つまりその中の弾の位置を把握している装填者まで引き金を引かずにパスを選択したのです」 「…そっか」 そこまで言って楓はようやく気が付いた。蓋を開けてみれば簡単な話だ。 「装填者が誰か分からずとも、装填者がパスを選んだことはバッタさんからすれば明白、何故、弾の位置を知っている装填者がパスを選んだのでしょうか?」 「弾の位置が1発目だったから、装填者は…俺はパスを選ぶ他が無かった…」 「6番目、最後の順番のプレイヤーからすれば、それは簡単に導き出される結論です。そうやってバッタさんは弾の位置を的中させたのです」 楓はあまりに単純な仕掛けに思わず呆れ笑いを零しながら、次第に自分たちのことを騙していたバッタに対して腹を立て始めている様子だった。 「俺は驚きましたよ、弾の位置を当てられて。でもそんな簡単なことだったなんて、あの野郎、次会ったときあの薄汚い笑みを引ん剥いてやりますよ」 確かに簡単なトリック。恐らく答えはこれであっているだろう。でも、僕の中には新しい不安が生まれ始めていた。 そんな僕に楓は気付く。 「どうしたんです?」 「いえ、これはあくまでも杞憂に終わればいいのですが、バッタさんはどうして、さも能力を使ったように弾の位置を言い当てたのでしょうか?」 「それは…俺たちのことをビックリさせたかったんじゃありません?」 「あんな仕掛け考えてみれば直ぐに気付かれてしまいます。それならリハーサルでは無く、ゲーム本番で使えばもっと効果的に使用できたはずです」
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