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誰も何も言わなかった。
現時点では最善かもしれないが、絶対とは言えないセーフティ。もし灰島が自分の順番を知らずとも適当な位置に弾を込める可能性だってある。
だけど僕たちは進むしかなかった。釈放時間を奪い合うなんて血で血を洗うような戦いをするわけにはいかない。そんなことをしても誰も得しない。
だから僕たちは灰島のことを信じるしかなった。裏切りの可能性を少しでも減らし、更に装填者であることを名乗り上げてくれた灰島のことを。
「私は灰島の提案に乗るわ」
腕を組みずっと考え込んでいた猫田が、吹っ切れたように一番初めにそう口を開いた。
「悩んでも仕方がないわ。パーフェクトプルを達成する為には、結局のところアンタのことを信じるしかないしね」
「猫田さん、ありがとうございます」
灰島は深く頭を下げて、僕と大石、そして中丸もそれに続き彼の提案に賛成した。
残るはバッタのみ。全員の注目がバッタに集中する。
「みんなしてそう心配しないでくれ、俺も灰島君の提案には初めから賛成している」
そういう彼の顔には薄ら笑い。
「今回の装填者は俺じゃない。本来なら的の立場。ならば釈放時間を2時間でも稼ぐことが出来るパーフェクトプルを拒絶する理由なんて何一つ無い」
バッタの言動一つ一つが胡乱さを内包し、嘘臭さが鼻をつく。しかし彼の言うことも最もであり、それ以上を誰かが言及することは無かった。
『それでは順番カードをお配り致します。皆様1枚ずつお引き下さい』
プレイヤーに配られる順番カード。今回の鍵となるそれを、僕はベアーの手元から1枚引くと直ぐに確認した。
カードには「6」という数字。つまり僕の順番は6番目の一番最後。
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