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全員がカードを引き終え、それを確認すると灰島はテーブルの上に自分のカードを裏向きで伏せ、そしてプレイヤーの顔を見回しながら慎重に聞いた。
「私のカードと交換したい方はいらっしゃいますか」
再びの静止、お互いがお互いの出方を探り合う。その中で一人、楓だけは僕に何か言いたそうな素振りを見せていたが、とても何かを言えるような空気では無く、楓は一人で何かを決心したように、ゆっくりとその手を挙げた。
「俺のカードと交換してくれ」
楓が交換を申し出るのは少し意外だった。でも恐らくそのカードは例えば「1」のように交換をせざる負えないものだったのかもしれない。
灰島のことを完璧に信頼しているわけではない。そんな中で一番目に引き金を引くのは自殺行為だ。
「楓さん、ではこちらを」
灰島は自分のカードを裏返したまま楓に渡す。そして楓も自分のカードを灰島の手元へ裏向きのままでテーブルの上に置いた。
灰島は楓から受け取ったカードを見る事も、ましてや触れることも無く、そのまま腕に巻きつけた囚人時計を操作し始めた。
『それでは装填者の弾の装填が終わりましたので、順番カードを回収させていただきます』
ベアーが一枚ずつプレイヤーから順番カードを回収していく。結局、灰島は楓と交換したカードに書かれた数字を一度も見る事は無かった。
つまり灰島は提案通りに装填者でありながらも、自分の順番が何番か分からないままに弾を装填したことになる。
『では第一回目の順番を発表致します』
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