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ベアーが発表した順番は次の通りだ。
【前半戦・第1回】
1番目:灰島
2番目:楓
3番目:バッタ
4番目:中丸
5番目:猫田
6番目:久崎
装填者である灰島は一番目、そしてそんな灰島とカードの交換を申し出た楓は二番目となっている。つまり元々、楓の順番は一番目であり、最初に引き金を引くことが恐ろしく交換を申し出たということになる。
「私が一番目ですか」
灰島はリバルバーをリハーサルの時よりかは慣れた手つきでベアーから受け取り、それを自分のこめかみへとゆっくりと向ける。
全てはこの回で決まると言っても過言ではなかった。もしこの回で灰島が裏切り、7発目に弾を仕込んでいなければ、それは誰も救われないお互いの釈放時間を食い潰す最悪のロシアンルーレットゲームが始まりとなってしまう。
でも、この回でもし全員でパーフェクトプルを達成できれば・・・。
灰島の言葉を簡単には信じられないのが現実。でも、灰島は装填者でありながら、自分の順番を知らずして弾を込めた。灰島は自分が1番目だということを知らなかったのだ。
普通に考えれば装填者は一発目や、二発目に弾を込めることが正解となる。そうすれば誰かが発砲してくれる可能性が高くなるからだ。灰島はここで引き金を引けるのか。全員の視線が灰島へと集まっていた。
「皆さん安心してください」
そんな不安と疑念が混ざり溶けた視線に気が付いたのが、優しく灰島はそう言った。
「私は自分の順番を知らなかったのです。逆に言えば自分がいつ引き金を引くか分からない分、1発目から6発目まで自分が引き金を引く可能性がある場所にはどこにも弾を込められなかったのです」
それは灰島の言う通りであった。
「だから私は7発目に弾を込めました。どうか皆さん、私を信じてください。そして、最後までパーフェクトプルを達成して、釈放時間をつかみ取りましょう」
そして灰島は引き金を一気に引いた。
『カチッ』
ハンマーが空を打つ音が部屋の中に響き渡る。気持ちのいいほど呆気のない音。灰島はゆっくりとリボルバーを楓に手渡した。
「お次は楓さんですね。大丈夫です、信じてください」
灰島は引き金を引き、プルに成功した。張りつめていた空気が一瞬にして緩むのを感じる。もしかしたら本当にパーフェクトプルを達成できるのではないかと、希望がそこには芽生えていた。
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