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蓋を開けてみれば単純なこと。
カードを交換した場合、元の順番である2番目以外の順番になることは確定する。ならば全員が引き金を引く流れさえ作ってしまえば、あとは2発目に弾を込めるだけで、自分の順番なんて分からなくともカードの交換を申し出た人間が自動的に発砲する仕組みが完成する。
「随分と回りくどい事をするのね」
猫田はどうでもよさそうにそう言った。
猫田だけじゃない。中丸もバッタも、楓の発砲、そして灰島の裏切りも、仕掛けさえ分かってしまえばあとはどうでもいいように無関心そのものであった。「隣の国の戦争」まるでそうとでも言うように。
彼らは初めからパーフェクトプルを達成するつもりなんて微塵も無く、いつ裏切るか、どうやって裏切るか、そのことしか考えていなかった。
馬鹿みたいにパーフェクトプルが出来ると思っていたのは僕と楓の二人だけだったのだ。
「釈放時間に余裕がある序盤はパスへの抵抗がそこまでありません。それに第一回目、私は全員が様子見の姿勢になると思っていました」
確かに釈放時間が12時間ある現状、安全の根拠も何一つ無い中で引き金を引くような真似は難しいだろう。
「しかしそうなってしまうと、折角の釈放時間を稼ぐことができる装填者のチャンスが死んでしまう。引き金をなんとか引かせる必要があった。だからあんな猿芝居までしたわけですよ」
楓はまるでゲームに敗北したかのような顔して、リボルバーをテーブルの上に置く。
人間はこんなにも私利私欲でしか動かない生き物なのか。それともこんな環境だからこそそうなってしまっているのか。
記憶の抜けた僕には一切の判断がつかなかった。
でもただ一つ、それは確信のように心の中で強く芽生えている感情があった。僕のことを信じ、灰島のことを信じようとした楓だけは、このゲームに負けさせてはいけないと。例え僕が犠牲になろうとも、楓を勝たせる必要があると。それは記憶を失う前の僕の意思だったのか、何故だか分からないが僕はそう確信していた。
そして第一回目のゲームは終了し、結果がモニターに映し出される。
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【第1回結果発表】
1.灰島/16
2.楓/8
3.バッタ/12
4.中丸/12
5.猫田/12
6.久崎/12
テーブル/0
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発砲に成功した灰島は4時間を獲得し、発砲してしまった楓は4時間を失う。最悪の流れで多人数ロシアンルーレットはその始まりを告げた。
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