3.視覚

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鈍重な空気の中でゲームは静かに流れていく。 引き金を引こうと指をかけても、まるで固まってしまったかのようにその指は動かなかった。 2発目の引き金の引くというハードルはあまりにも高かった。 結局のところ第2回目、引き金を引けたプレイヤーはバッタと中丸の二人だけで、残りのプレイヤーはパスを選んだ。 テーブルの上には4人分のパスの代償8時間。プルに成功したバッタと中丸がその時間を等分し、第2回のゲームは終了した。 ーーーーーーー 【第2回結果発表】 1.バッタ/16 2.久崎/10 3.猫田/12 4.楓/6 5.中丸/16 6.灰島/14 ーーーーーーー 現在の状況は4時間も獲得したバッタと中丸が16時間で同率一位。逆の残り時間は6時間まで減ってしまっていた。まだ二回目のゲームだというのに楓の時間は半分も消え、モニターに映る結果を見る彼の顔はより一層暗いものへと変わってしまっていた。 絶望。引き金も引けず、パスをしても時間は減っていく。質の悪い悪夢としか思いない。 そしてプレイヤーたちの思考に違和感を残す今回の装填者の存在。装填者は結局名乗りあげることはなかった。バッタが嘘をついていたのか、それとも本当に弾の位置を読んだのか、その真相は分からないままだった。 「虫の知らせって言葉一度は聞いたことがあるだろ?」 バッタは首の骨を鳴らしながら誰に言うでもなく呟いた。 「不吉なことが起きる前、不運なことが起きる前、もっと言えば地震が起きる前、虫は察知してそのことを知らせてくれる。虫は危険に敏感なんだ。直感的に理解できる」 「何が言いたいんですか?」 「俺は昔からそうだった。危険を察知できる。だからバッタなんて呼ばれていた」 虫の知らせ。僕はその言葉を知らなかった。というよりも憶えていなかった。あまり日常的に使う言葉では無かったのかもしれない。 「透視でもなんでもない。弾が視えるというのも正確には嘘だ。ただ俺には危険か、そうでないか直感的に分かってしまう…ククククッ」
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