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「見ない顔だな……何区から来た?」
あたしは顔の前で指を9本立てた。
「9区」
「隣か……」
男の人が変な顔をした。理由は大体想像つく。
下層第9区が4区、13区に並ぶ高級住宅街だからだ。
そんな所に住んでいる人間がなんだってこんな場所に……とでも思っているに違いない。
「そんな所に住んでいる人間がなんだってこんな場所に……」
わお、1字1句違ってないや。
「野良猫弄り」
「なん……だと……?」
男の人の表情が驚愕1色に染まる。
「馬鹿な、ちょくちょくエサをやってるオレですら触ったことがないというのに……」
ご愁傷さま。
「流石は高級住宅街暮らしの女子中学生……色々と格が違うな」
「あたしは女子高校生です~!」
ちっちゃいからよく間違えられるけど。
「マジかよ。高校生……それも高級住宅街暮らしの女子なら中層のペットショップとかに行くもんなんじゃないのか?お前相当な物好きだな」
「あたし学校では変人で通ってるんだ」
自己紹介の時に魔法使いですとか言ったことあるし。
「ペットショップの猫とかは買わずにもふることに抵抗があるからここに来てるのよ。両親が猫アレルギーだから飼えないし」
「にしたって躊躇くらいはあっただろ?ここに入るの」
「全然。迷ったら屋根に登って脱出すればいいやって思ってたし」
「お前本当に面白い奴だな」
男の人はそう言って呆れたように笑った。
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