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「何言ってんだよ……っ!ルヴィ残して逃げる訳にいかねーだろ!俺も残る!」
うっわ、我ながら恥ずかしい台詞だなこれ。
言いながら内心で地味に悶えつつも、抜群の演技力は無事にルヴィを欺いた。
「言っただろ、庇う余裕ないんだよ。分かったらさっさと出ろ!」
「もし出ようとしても扉が開けねーんだって!」
「知るかこじ開けろ!」
「今の俺見てそれ言えんの!?」
一応この部屋を支配する圧力に屈して膝をついてる状態なんだけどな?
謎の掛け合いによって若干緊張感が失われつつあるけど。
ルヴィが俺のしぶとく残ろうとする様子を見て少し眉を寄せ、不機嫌そうに口を開こうとした、その時。
……結界が、パリンと音を立てて割れた。
恐らく、彼はほんの少しだけ油断をしていた。
恐らく、彼はその時完全に理性は無かった。
──瞬間、俺の左肩から鮮血が上がった。
ルヴィが僅かに遅れて魔法を放ち軌道を逸らしてくれたお陰で命は助かったものの、襲う激痛に穿たれた箇所を抑えて床に倒れこむ。
あー、痛ってぇな、これ。本気で。
少し掠っただけで大ダメージだ。血は止まらないし、ジリジリと傷が広がっていくのも感じる。
毎日の様に受ける暴力や魔法も相当に痛いが、ある意味別次元でこの攻撃も痛い。
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