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痛みで視界も霞がかるようにボヤけ、身体は熱いんだか寒いんだか分からない。
「ハルッ!!……チッ!」
おいこらルヴィ、そんなに動揺するなら普段から優しくしろっての。
普段クラスメイトと担任、特にお前のハーレムメンバーには度を超えた攻撃食らってるの知ってるだろ、むしろお前もだろ、という言葉は飲み込む。
というか俺の口からは今か細い呼吸しかできないので、声になることはないが。
思考だけは問題なく働く。だが身体は確実に死に近付いている。
禁忌で暴走する魔力には人体に影響を及ぼす毒素も含まれるってのは結構面倒だよな、本当。
俺が意識を失う直前、俺にトドメを刺そうとするバケモノみたいな姿に変化したユーストと、その背後で魔武器の想現を構えたルヴィが見えた。
気配がする、と反射的に意識が覚醒する。
どこかのベッドで寝ている俺に近付く気配は、知っているが予想外の人物のものだった。
──突然、殺気を感じて飛び起きる。
思わず【ゼロ】としての対処をしたので、相手は俺の魔法によって槍を突く直前の構えをとったままピクリとも動かなくなった。
ヤベ……さすがに息はしてるよな?あぁ、してる、ならいいか。
「で、何しに来たんだ?ユースト」
学園では見せることはない悪い笑顔を、動きを止められて驚愕する彼へと向けた。
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