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「貴様……本当に、ガルナー……か?」
小さく口を動かして、震えた声が彼から漏れる。
″話せる″ということは、止めたのは″首から下の動き″か。あー、完全に【ゼロ】としてやったな俺。
相手がユースト・セアルダだと認識していた分、まだ全然マシな対処なのは置いといて。
「勿論、正真正銘ハル・ガルナーだぞ?学園では完全に演じてるけどな」
「……えん、じて?」
「そう。まぁ俺にとってそんなことはどうでもいいんだよ。……最初の質問に答えろ」
目を細めて浮かべていた笑みを消し、声色を変えて投げかけた俺にユーストが怯えたように息を飲んだ。
ゴクリ、と唾を飲む音が聞こえ、俯いて躊躇った様子を見せた後にそのままゆっくりと口を開いた。
「……殺そうと、思った。貴様を」
「へぇ?何で?」
「ッ。あの後、僕は気づいたらギルドの地下牢にいた。担任が来て、応援に来たギルド員に僕は気絶させられたと聞いた。……貴様が傷を負って死にかけたということも」
ユーストは顔を上げ、俺へ……正確には俺の左肩に、視線を向ける。
治癒魔法すら効かない禁忌の攻撃。毒素を消す薬は開発されたが、未だに傷を癒す魔法等は無い。
その為俺の左肩は滅多に使用されることのない包帯で巻かれていた。
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