暴動

33/36
前へ
/168ページ
次へ
 ゼロに依頼できる最低条件は3つ。  まず大前提として殺しであること。加えて受諾中の依頼が無いこと、俺が納得できる代償を払うこと、である。  全ての条件を達成していても残念ながら気分が乗らなかったり害されたり等で応諾しないこともあるが、依頼者の身分も年齢も性別も関係無い。  気分の問題が絡めば割とシビアなのは置いておくとして。……要は、代償の問題が己でも思う最難関だった。 「さて、今の依頼内容を聞いてお前は何を代償とする?今回は異例で俺から話を持ちかけてるし、割と判定は緩いぞ。勿論断ってもいい。けど、悩む時間は与えない。つーか、時間が無い」  どうする?と続けざまに問いかける前に、ユーストの瞳がギラリと瞬く。まるで迷う必要は無いと言わんばかりに。  絶望に堕ちた人間が、輝きを取り戻す。  ……あぁ、こういうのが堪らないんだよなぁ。  狂喜とも呼べる感情が胸中で渦巻く。本当、人間とは面白くて愉しい。素晴らしい。 「是非、依頼したい。代償は──」  ユーストの申し出た代償に応じた俺は、早速ユーストと共にセアルダ家へと<<転移>>した。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6292人が本棚に入れています
本棚に追加