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今の声は側にいる俺でさえ微かに聞き取れた程度なので、少し離れた場所にいるユーストには一切届いていないだろう。
「……今のは、ユーストに宛てた謝罪の言葉か?」
問うと、震えながらも時間をかけてゆっくり頷く姿を見て魔法を使用する。本来は必要ない動作だが気分でパチンと軽快に指を鳴らせば、ユーストが俺の隣へ瞬時に現れた。
「え」
目を瞠り、軽く辺りを見回してから俺へ視線を合わせる。説明を求めるような強い眼差しが伝わるがひとまず置いといて、無言で彼を観察する。
何を思ったのか逃げるように一歩足を引いている。1つ浮かんだ言葉を放つが止まるか逡巡したが、結局頭の中で掻き消した。
「まぁとりあえず。コイツが今からお前に向けて謝るだろうから聞いとけよ」
あまり納得のしていない表情とはいえ視線を眼下へ向けるユーストに倣うと、2人の圧を間近で受けることになったココットの表情は劇的に歪み、ユーストの足にしがみついた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あぁぁぁぁぁ!!ごめんなさい、ごめんなさいユーストぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
いやちょっと普通に吹き出しそうになった。雄叫びじゃん。
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