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手近に喰らうモノが無くなり、消えない飢えの衝動故に自身の手足へと齧り付いていたので放っておいても死ぬだろう。ユーストも分かっているだろうが、それを選ぶことはない。
獲物が近付く気配を察知したバスティが、獣の如く血と肉と涎を撒き散らしながらユーストへと襲いかかる。
「<<ファイアボム>>」
狼狽る様を一切見せることなく、彼は冷静に対処してみせた。掌を翳し、火属性の中級魔法を詠唱破棄で放つ。
因みに魔法学園1年が中級魔法を暴発させずに詠唱破棄するのは相当優秀だった筈。やっぱりルヴィがいなきゃなぁなんて思う間に、小さな火種は大きく開かれたバスティの口に入り込み、爆発した。
「グアァァァァァァァ!!ガ……ァ……」
うわ、痛そう。俺も燃える剣とか口にぶっ刺してかき回したりするから人のことは言えないけど。
皮膚が爛れ、舌が焼け、歯や骨は剥き出しに。無残な顔へと変えられた男を憎悪の瞳で見つめるユーストは、学園で見せていた傲慢な姿とは似ても似つかない。
「これで何も食べられないだろう?どうだ、辛いか?苦しいか?」
魔武器を抱え窺うように屈み、心の底から嬉しそうな声色で問いかける。勿論バスティは答えられる状態にないが、答えは明白だろう。
「本当はもっと苦しませてやりたいんだがな。もう終わらせてやるよ」
<<魔力強化>>した手で頭を掴む。ミシミシと音を立てる。もがくように身体は暴れる。抵抗虚しくやがて砕け、潰された。
──続けて2人目、バスティ・セアルダの死亡を確認。
後は弟と母親、か。
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