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邪魔な肉塊を足蹴にして退かし、まずは手足を失ったカルサへと近づく。
本来ならとうにで死亡している状態の筈だが、俺が魔法により無理矢理生かしていた。
指を1回パチンと鳴らして更に魔法を行使する。一瞬だけ光に包まれ、収まった時には五体満足の傷一つない、健康な身体に戻っていた。ついでに離れた場所で横たわるココットも同時に全回復させている。
……この様子を目撃した人は大体唖然とする。階級の高い回復魔法でもここまでの再生能力は無いからな。改めて俺の魔法って規格外。でもやっぱり使い勝手は悪い。
気絶から起こす為に腹へ軽く一発蹴りを入れると、目を見開き激しく咳き込みだした。
「おはよう。よく眠れたか?」
涙を滲ませ、時折血を吐きながらも降りかかる声に目線を上げたカルサは、ものの一瞬で苦悶の表情が恐怖に歪んだ。
「ひ、あ……ぁ、は……!」
「といっても、まだ夜は明けてないけどな。そもそも、お前に朝は迎えられないが」
声にならない悲鳴を上げるカルサの左足を掴み、容赦なく引きづりながらココットの元へ向かう。
あれ程ユーストに殴られて腫れ上がった顔の面影はなく、無傷で床に伏せる姿が目に映る。その上にカルサを投げ捨てた。
のしかかる衝撃で目を覚ましたココットは身体を起こす。転がったカルサを見て困惑を顔に浮かべたが、辺りを見渡し俺を視界に捉えた瞬間、先程のカルサと同様の反応を示した。
呻く息子を抱き寄せ、座り込んだまま震えて力が入りきらない身体で距離を取ろうとする。大して距離が離れることもなく、無駄な抵抗に終わる。
「んー、どうやって殺そうか……。時間に余裕もないしなー」
ぶつぶつと様々な方法を呟いて候補を絞っていく。因みにわざと声に出している為、これから自分達の身に起こることを想像しているのか2人の顔は蒼白だった。
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