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「……【貴族】、ね」
「ま、やるからには頑張るけどね」
不安げな表情から一変、満面の笑みを浮かべて明るい振る舞うユウナは、いつもと相違ない彼女だった。
「ユウナなら大丈夫。俺が応援してるから」
……普段あまり笑わないルヴィが、優しげに微笑んだ。
様になる所がまた憎たらしいんですけど!
一瞬背景が色とりどりの花になった……ってのは大袈裟だが、それだけの微笑みだったと俺は思う。
現に。
「あっ、あ、ああ、ありがとう……!!」
愛しき彼の微笑みを見たユウナさんは、顔を真っ赤にして挙動不審に慌てふためいている。
ルヴィの言葉がよっぽど嬉しかったのか、口元が緩みまくりだ。
「……そんなに嬉しかったのか?」
「この超鈍感男が」
隣で苛つかせる発言をした男に毒を吐いたと同時に、2人の女子がこちらに近付くのが見えた。
「エル!ユウナだけずるいですよ……。私だって【貴族】としての圧力があります」
「まあまあ。不貞腐れないの」
割り込むなりルヴィに対し嫉妬をぶつける美少女と、それを後ろから肩を叩いて宥める美少女。
……俺以外、本当に美形しかいないな。
──閑話休題。
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