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俺が渋々口を閉ざすと、ライラはいかに俺よりもルヴィの方が格上なのかを熱く語り始めた。
内容的には……本人を目の前にして言うことじゃないと思う。うん。
「……ハル」
「ん?」
否定したいが否定出来ないこの状況に虚しく項垂れると、黙って様子を窺っていたサランに名を呼ばれる。
目線だけをそちらへ向けた時、哀しげな表情を浮かべる彼女が視界に捉えた。
少なからず驚いた俺は、どうした?と声をかけるつもりだったが、言う前にサランが口を開いた。
「ハルにもいい所、沢山あるよ?あまり悲観的にならないでね」
────!……。
「……おう!ありがとなサラン!」
「ハル?」
「すみませんっした!」
サランの言葉に、思わず言葉が詰まりそうになる。
言われ慣れてねぇからな、等と片隅で思いながら笑顔でお礼を言った所、微笑な筈なのに低い声色のライラが、一切笑っていない瞳で俺を写した。
……まだ死にたくねぇ!
緊急思考回路が瞬時に働き、考えて言う前に謝罪が飛び出した。
熱弁、邪魔しちゃったか……。
でもルヴィから安堵の視線を感じるから、ある意味良かったかもしれないな。
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