魔武器

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 俺達は駆け足で教室を飛び出した愉快な仲間達を追うべく、急いで第1魔法室へ向かうことなった。  無駄に横幅のある煌びやかな廊下を駆け抜ける中、1番運動の苦手なライラが息を切らしながら愚痴り始めた。 「もうっ……!何で教室から第1魔法室はこんなに、遠い、んですかっ!?」 「知らないわよ。学園長に訊けば?」  ……ユウナ。お前は流石だな、うん。  余裕の表情と苦痛の表情が並ぶと何かシュールだ。 「せめて、魔法が使えればいいんだけどね……」  最後尾のライラの前を走るサランが苦笑しながら告げた言葉に、先頭で長い髪を揺らす少女が顔だけを後ろへ向け、難しそうな表情を浮かべて口を開く。 「それは私も思うけど、学園内は私用目的の魔法は禁止じゃない」 「でも出来れば、<<魔力強化>>、位っ、は、使いたいです……!」 「<<転移>>とか使えたら最高だね」  ──<<転移>>、ね。  女子達の会話が繰り広げられる最中、ユウナとサランの間を走る俺達は無言を貫いていた。  サランの願望が口から漏れた後、即座に否定するユウナの言葉が続いたんだが、隣に並ぶルヴィの表情が僅かに動く。
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