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担任の足下には、いくつかの段ボールが並べられている。
腰を曲げて箱の中に手を突っ込み、一呼吸置いた後に取り出したのは……銀色に鈍く光る小さな鉱石。
あまり美しいとは言えないが、どこか目を惹き付けられる不思議な魅力がある。
「これが【魔武器】の元になる鉱石だ。これらの段ボールには十分な量があるから好きなの選べよー。ここからは自由だから、扱いに気を付けるよーに。俺は一応見て回るから。制作出来たら報告に来い。──以上!」
パン、と手を叩いた瞬間に乾いた音が第1魔法室に響く。
それが合図になったのか、クラスメイトは堰が切れたように段ボールへ密集した。
最後尾にいた俺は難を逃れたが、餌に群がる野獣みたいだ……。
「さってと。……どうしようかな……」
一人言を呟きながら、群れから一旦避難したらしいルヴィ達を見やる。
……合流、するべきなんだが……。
ユウナがなぁ……。面倒だ。
少し逡巡するも、ここで他の奴等と行動するのは″俺″じゃない。
ここは、ルヴィ達の代わりに鉱石を5つ取り、渡して媚を売ることが先決だな。
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